■ 図書館でICタグが普及し始めた要因としては、ICタグの特徴であります複数同時読み取り、自動書換え、通信の信頼性、ICチップの小型化、耐久性、透過性などが図書館のニーズに合致したこと、バーコード+タルトテープシステムと比較して価格的にも競争力を持ってきたことが挙げられます。また、図書館にも押し寄せる経費削減、人員抑制、利用者サービスの向上の要請といった図書館を取り巻く環境の変化が、普及を推し進めてきたと思われます。
■ しかも、自動貸出機で利用者が自ら貸出処理をするようになれば、カウンター処理が激減しますから、単純作業から図書館員は解放され、図書案内など職員にしかできない業務に集中することが可能になります。返却処理も同様です。
■ 最近は銀行での振込・入出金、総合病院の診療支払い、そして交通機関でのSuicaなど、いろいろな分野で自動機が増えていて、利用者は自分での処理に慣れているという時代背景もあるかと思います。
未来の図書館
■ 今のバーコードシステムですと、図書館員は1さつずつスキャンして貸出処理をします。しかも不正持ち出し防止にタルトテープを使用している図書館であれば、10冊の貸し出しに際して、利用者カードスキャンしてから本のバーコードをスキャン、そして本から磁性を消去する操作が必要となりますから
「カードスキャン×1回 + 本のバーコードスキャン×10回 + タルトテープ消磁×10回= 21回の操作」
をすることになります。
■ ICタグシステムを採用すると、利用者カードもICカード化されていれば、1回の操作で10冊の貸し出し処理が完了します。
■ 貸出処理時にICチップ内に貸出情報を自動的に記録すれば、その情報を出口のセキュリティーゲートで読み取って、貸出処理漏れもしくは不正持ち出しをカウンタ内で確認できるので、本のタイトルを特定した上で利用者に対して確認のための問いかけができるようになります。
■ 蔵書点検については、バーコードの場合、書架に並んだ本を取り出してはスキャンして元の位置の戻すというしておこなう必要があります。
■ 蔵書すべてにICタグを付け、弊社のアンテナを書架の棚すべてに取り付けた場合、数分おきに更新されるリアルタイム蔵書点検が可能となります。
図書館のRFIDコスト
1.装置関連
① 受付カウンタ端末
② ゲート
③ 自動貸出機
2.ICタグ関連
① 図書用ICタグ
② CD/DVD用ICタグ
③ ICタグ繰り返し使用用ポケット(雑誌)
④ 貼り付け・エンコード作業費
⑤ エンコード用プログラム
3.導入支援費
① 要求分析・仕様設計
② 操作研修・運用支援
③ 搬入・設置調整
4.その他費用
① 図書館ホスト連携ソフト
② LAN工事、電原工事
③ パソコン機器
④ 受付カウンター
⑤ 機器保守料
⑥ 図書利用者カード
など、10万冊の図書館でおおざっぱですが、買取3000万円、5年リース契約で55万円/月と言われています。
弊社では、バーコード読み取りの単純作業により発生する1~2週間程度休館に着目、図書館のコスト削減・利用者へのサービス向上を目標としており、また、図書館の費用対効果に貢献すべく、予算内でリアルタイム蔵書点検システムの開発に注力しております。